アルファベットでみるIDA – 脆弱性・紛争・暴力

途上国では、数百万人が貧困から抜け出しつつある一方で、紛争や暴力、国家の脆弱性のために貧困の悪循環に陥っている人々も同じ数に上ります。脆弱性、紛争、そして暴力は、ようやく手にした開発成果を帳消しにしかねず、結果として、時には多くの人々が強制的に国を追われ、難民とその受入国に大きな影響を及ぼしています。(「アルファベットでみるIDA: 脆弱性・紛争・暴力」をPDF形式でダウンロード

世界銀行の最貧国向け基金である国際開発協会(IDA)は、こうした国々で取組みを進め、厳しい状況に変化をもたらしています。IDAは、強靭な制度と経済の再構築に必要となる融資や知識を提供し、人々が平和で生産的な生活を取り戻すための基礎条件を整備することで、脆弱・紛争国を支援しています。

IDAは、2000年以降、脆弱・紛争国に対し285億ドル以上の資金を提供しています。紛争や脆弱性の根本的原因を探ることは、IDAの19の援助受入国で進められているプロジェクトにとって有益な情報となります。

脆弱性の克服は可能です。そのためには正しく機能する制度の構築が必要であり、IDAの柔軟で予測可能な国別モデルが特に有効です。IDAは、大規模な開発課題には不可欠な存在であり、その際、知識と有利な条件の融資を提供し、ドナーとの連携(マルチドナー信託基金の実施を含む)のためのプラットフォームの役割を果たし、ドナーと借入国の両方で透明性と説明責任の強化を図っています。

困難な状況ではありますが、IDAの支援は、各国が危機や脆弱な状況から脱却し、開発に移行する際に役立っています。アフガニスタンでは、IDAの支援により、熟練労働者と単純労働者に5,200万日分の雇用を創出し、25,000人以上に職業訓練を行いました。コンゴ民主共和国で進行中のプロジェクトは、性的暴行やジェンダーに基づく暴力の防止と意識向上に貢献しています。リベリアでは、飢餓防止と、エボラ危機後の農業セクター再建のため、農業に従事する2万世帯に質の高いコメの種子を配布しました。「アフリカの角」と「大湖」地域では、難民や国内避難民の生活とサービスへのアクセスを向上するために、難民を受け入れているコミュニティを支援しました。

ここにまとめられた事例が示す通り、脆弱・紛争国におけるIDAプロジェクトは、こうした国々の状況を変えつつあります。この他にも、IDAの活動全般や、アフリカ、ジェンダー、気候変動、雇用・経済変革、ガバナンス・組織制度の構築に関するIDAの支援を国別にまとめた「アルファベットでみるIDA」シリーズをご覧ください。


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A

アフガニスタン

  • 2013~15年、技術職業訓練学校の生徒を対象とする職務技術の習得と所得向上を図るプログラムにより、25,696人が恩恵を享受。
  • 2011~15年、事業開拓のための贈与を中小企業434社に提供し1,385件の雇用を創出。
  • 2011~15年、ジャララバードの病院の患者数が1日50人以下から150人以上に増加。
  • 2012~15年、アフガニスタン全体で、全長732キロの第三種道路と、そこにかかる橋梁825メートルを完了。同期間に、3,000キロを超える第三種道路を修復。
  • 2003~15年、給水・衛生、農村道路、灌漑、電力、保健医療、教育の改善のためのプロジェクトを含む86,000件の小規模な復興開発活動を特定・実施するため、「国家連帯計画(NSP)」と、IDAをはじめとする31のパートナーが地域開発審議会と協働。このプログラムを通じ、熟練労働者と単純労働者に5,200万日分の雇用を創出し、秘密投票で民主的に選出した33,400の地域開発審議会を全国に設立。

B

ブルンジ

  • 2012~13年、総合申請所が新設された結果、建築許可取得の所要日数が137日から99日に短縮。
  • 2010~15年、農業生産性向上プロジェクトの下、小規模農家の1ヘクタール当たりコメ生産高が、2.5トンから4トンまで増加、バナナの1ヘクタール当たり生産高は、9トンから22.7トンに増加。

C

中央アフリカ共和国

  • 2014~15年、政府の行政能力向上と、紛争後の公務員給与システムおよび関連財務管理システムの再建を目指す「中央アフリカ共和国緊急公共サービス対応プロジェクト」により、税徴収額が50%増加するなどの成果を達成。税収増加を受け、政府のサービス提供機能を再建。
  • 2015年第4四半期に、IDAの「労働の対価としての現金給付」プログラムを通じて、99,000日分の雇用を創出。
  • 2014~15年、「食糧危機対応・農業再活性化のための緊急プロジェクト」の一環として始まった食用作物生産の恩恵を147,105人が享受。同プロジェクトの下、5,005トンの食糧が配布され、種子生産が371トン増加。
  • 2012~15年、327,843人が保健、栄養、性と生殖に関する健康の基本的なサービス・パッケージにアクセスを確保。
  • 2000~12年、119,000人(妊婦1万人以上、教師2,000人、軍関係者とその家族7,000人近く)がHIV検査を受診。
  • 2007~12年、教師1,023名および校長22名を採用し研修を実施。3,000の新カリキュラムを提供し、教科書178,500冊、教材5,596セットおよび5,130台の机を配布。

チャド

  • 2003~12年、260万冊の図書を学校に配布し、400の教室を建設・整備、2万人が読み書きを習い、コミュニティの教師11,700人に研修を実施。
  • 2012~15年、123,500人が農作物生産高増加による恩恵を享受。

コモロ連合

  • 世界的な危機および2012年の洪水に対応するために実施されたIDA緊急融資による「労働の対価としての現金給付」と「コミュニティ主導のインフラ整備プロジェクト」により、71,000人以上が直接的な恩恵を享受。

コートジボワール

  • 2015年時点で、都市インフラの修復と建設により、都市部で定期的に発生する洪水から新たに61,800人を保護。
  • 2012~15年、農村道路634キロを修復。
  • 2008~12年、元兵士、武装した個人、危機的状況にある若者など18,000人が社会復帰のための活動に参加。
  • 2008~12年、74の地方事務所が建設されると共に、労働集約型の手法により農村道路65キロを修復。
  • 2012年、HIVに感染した妊婦の44%に対し、母子感染のリスク低減のため抗レトロウィルス治療を実施(2007年には未実施)。

D

コンゴ民主共和国

  • 2014~15年、性的暴行を受けた3,845人がホリスティック・サービス(精神と身体を含めた総合的医療)を受診し、3,244人が婦人科で治療を受け、地域住民58,627人が性的暴行やジェンダーに基づく暴力についての意識と知識を向上するための活動に参加。
  • 2014~15年、都市部の120万人が、より安全な飲料水へのアクセスを確保。
  • 2014年2月~12月、コンゴ東部で学校、給水所、橋などコミュニティ・インフラの再建により69,017人が直接的な恩恵を享受。
  • 2011~15年、全長1,765キロメートルの道路など、農村インフラの建設により、500の村落が恩恵を享受。

H

ハイチ

  • 2014年10月~2015年9月、98の自治体で、入院患者9,776人にコレラの検診と治療を提供。同期間に、コレラに対する意識向上キャンペーンの一環として19,320世帯を訪問し、19,800軒の住宅と3,515個のトイレを消毒。
  • 2012~15年、ポルトープランス首都圏で、太陽光発電による街灯がともり、18,000人が恩恵を享受。
  • 2014~15年、恵まれない子供の内、私立学校の学費免除を受けた人の数が、264,434人から372,516人に増加。
  • 2011~15年、プロジェクトによる支援の結果、初等学校の教師として新たに2,669人が資格を取得。 

ホンジュラス

  • 2013~15年、対象地域において、コミュニティの治安改善対策の一環である暴力防止プログラムに14,388人(内8,000人以上が女性)が参加。同プロジェクトの下、心理社会的支援、暴力防止、コミュニティ・ベースの支援を図る9つのイニシアティブを実施。

K

コソボ

  • 2008~15年、紛争後の借地借家権の安定と不動産市場整備を図るプロジェクトにより、不動産売買登録の所要日数が30日から約10日に短縮。

L

リベリア

  • 飢餓防止ならびにエボラ危機後の農業セクター再建のため、農業に従事する2万世帯に質の高いコメの種子を配布。
  • 2011~15年、道路の修復・維持のためのプロジェクトの下、10,800時間の実地研修を実施。

M

マダガスカル

  • 2015年、290万人以上の学生が、IDAと「教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)」の資金を受けたプロジェクトによる恩恵を享受。
  • 2012~14年、762,882人が保健、栄養、性と生殖に関する健康の基本的なサービス・パッケージへのアクセスを確保。
  • 2012~15年、予防接種を受けた子供は149,376人。2012~14年、熟練した専門家の立会いを受けた出産は74,593件。

マリ

  • 2015年9月末現在、43,613世帯(349,031人)が現金給付と関連する取組みによる恩恵を享受。受給者の半数以上が女性と子供。
  • 2009~15年、都市部の160万世帯に電力アクセスを確保し、370万人が恩恵を享受。
  • 2007~15年、農村人口の内、季節を問わず通行可能な道路へのアクセスを持つ人の割合が、32%から45%に改善。

ミャンマー

  • 2013~15年、学校施設や村のアクセス道路の改善を図る基礎インフラ・プロジェクトとサービス・プロジェクト1,800件により、1,729の村落に暮らす85万人が恩恵を享受。
  • 2014~15年度、中退の可能性がある学生を支援するため、37,000人の学生に現金を給付。

N

ネパール

  • 2008~14年、内戦犠牲者の遺族14,300家族と未亡人4,500人が現金給付を受け、内戦の影響を受けた14,770人に技能研修と就職斡旋サービスを実施。

S

シエラレオネ

  • 2008~13年、不法漁業を取り締まり、地場の小規模漁業者専用の水域を設定するプログラムにより、漁業セクターからの公的な収入が、90万ドルから380万ドルへと、5年間で322%拡大。

ソロモン諸島

  • 2010~16年、コミュニティでのインフラ建設を通じ、脆弱なコミュニティ出身の若者12,000人を雇用し、全国で664,000日分以上の雇用を創出。被雇用者全体の60%は女性、16~29才の若者は53%。
  • 2010~14年、電話の普及率が8%から60%に増加し、携帯電話による3分以内の市内通話の料金は、1.20ドルから13セントに低下。 

南スーダン

  • 2013~16年、診療所、学校、掘削孔の建設など、29件のコミュニティ・インフラ・プロジェクトの恩恵を8万人が享受。
  • 2014年、マラリア対策用として長期に使える防虫剤処理済みの蚊帳120万張を調達・配布(2012年は126,451張)。
  • 2013年、2011年の2,000%増となる374,206人の子供(生後6カ月から59カ月)にビタミンAを投与。
  • 2013年、生後12カ月未満の47,287人に、ジフテリア、百日咳、破傷風の予防のため、DPT3種混合ワクチンを実施(2011年は16,986人)。

スリランカ

  • 1999~2014年、内戦の影響を受けたコミュニティの生活改善プロジェクトにより、283,000人が恩恵を享受。同プロジェクトの下、全長2,000キロ以上の農村道路を修復し、54,000ヘクタールの土地を新たに灌漑。農業や小規模事業の支援のため、10万世帯以上に低金利融資を提供。

T

トーゴ

  • 2012~15年、学校90校(教室数248室)、保健センター13カ所、掘削孔44、公衆トイレ4、農村道路と踏切2カ所、簡易市場2カ所の建設により、3,275人が恩恵を享受。
  • 2013~15年、子供の栄養不良に取り組む社会セーフティネット・プログラムの一環として、14,016人に資金援助を提供。

Y

イエメン1

  • 2011年のイエメン危機により貧困率が2009年の43%から2012年は55%へと急激に悪化したことを受け、2013~14年に235万人(内、半数以上が女性)を対象に現金給付を実施。
  • 2012~15年、101,042人がプライマリ・ヘルスケア・サービスの拡充による恩恵を享受、121,193人が整備された水資源へのアクセスを確保、41,039人が整備された衛生設備へのアクセスを確保。
  • 2012~16年、IDAの支援を受けた2件のポリオ予防接種キャンペーンの下、21の行政区域で5歳未満児430万人に接種を実施。また、総合支援セッションを定期的に実施して、予防接種、母子保健、栄養・疾病管理サービスの他、特定の医療施設にアクセスを持たないコミュニティに対する保健教育を提供。

    イエメンの治安状況は、世界銀行が受託や監視ができないほどに悪化したため、2015年3月11日をもって、一切の世界銀行プロジェクトへの資金提供が中断された。現在も中断は続いているものの、可能な場合や緊急時には、主要なプロジェクトへの資金提供を再開する取り決めを開発パートナーと結んでいる。