アルファベットでみるIDA – ジェンダー

ABCs of IDA - Gender

今日の世界は、わずか数年前と比べても、女性や女児にとって暮らしやすくなりましたが、それが、世界中のすべての女性・女児に共通するわけではありません。特に、教育や、収入、将来への希望といった面で、男女間に大きな差のある世界の最貧国では、他国と比較して暮らしやすいとはいえません。女性が安全に出産し、収入の良い安定した仕事に就くための訓練を受け、各自の資産や所得を男性と同等に管理できるよう男女格差を解消することは、2030年までに極度の貧困を撲滅し、繁栄の共有促進と災害に強い社会の構築を実現する上で不可欠です。男女格差が解消されることで、各国がより多様性のある経済を構築し、生産性を向上し、次世代に明るい展望をもたらすために持続可能な道を歩む一助となります。(「アルファベットでみるIDA: ジェンダー」をPDF形式でダウンロード

世界銀行の最貧国向け基金である国際開発協会(IDA)にとって、ジェンダーの平等は重要な優先課題です。IDAは、女子の就学を促進・維持し、土地保有権などの重要な資産に対する女性のアクセスを支援し、女性が起業のための融資を受けられるようにすることで、ジェンダーの格差解消に取り組んでいます。これらの支援により、個人や家庭、国全体の経済的見通しを改善することにつながります。

IDAの取組みは、世界銀行グループの新たな「ジェンダー平等戦略」と歩調を合わせています。この戦略は、多くの国で女性にとっての課題である保健、教育、経済的機会へのアクセスなど、幅広い分野におけるジェンダー格差解消の成功例やデータを活用することで、根強く続いてきた男女格差の解消を図るものです。

ジェンダーの平等を実現するためには、長期にわたるセクター横断的な取組みが必要です。この観点から、IDAは他のどの機関よりも、ジェンダー分野の支援に適しています。女子の就学率や修了率、妊産婦死亡率、就労、資産保有など、ジェンダーに関する主要な指標を改善できるかどうかは、水、衛生、運輸、エネルギー、包摂的金融への投資だけでなく、技術、肥料、職業訓練といった他の主要指標にも左右されます。

多くの機関が教育や保健の分野でジェンダーの問題に取り組んでいますが、インフラ整備、民間セクター開発、農業、および金融サービスの分野におけるジェンダー支援では、IDAほどの潜在性を備えた機関はほとんどありません。

困難な課題が多く残されているものの、IDAの取組みは成果を上げています。例えば、2011~2015年にかけ、IDAの援助受入国に住む1,700万人以上の妊婦が医療従事者による産前ケアを受けました。また、IDA援助受入国では、今や女性の寿命が男性より3年も上回っています。さらに、2000~2013年、サブサハラ・アフリカ地域と南アジア地域では、女子の小学校就学率がそれぞれ18ポイントと21ポイント向上しました。

ここに示す通り、IDAは多数の国でジェンダーによる格差の解消に取り組んでいます。この他にも、IDAの活動全般や、アフリカ、ガバナンス・組織制度の構築、気候変動、脆弱・紛争国に関するIDAの支援を国別にまとめた「アルファベットでみるIDA」シリーズをご覧ください。


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A

アフガニスタン

  • 2003~15年、小規模な復興開発活動を特定・支援するため、「国家連帯計画(NSP)」と、IDAをはじめとする31のパートナーが、33,400の地域開発審議会の設立を支援。民主的に選出された地域審議会の議席の半数は女性に割り当てられ、村落レベルの意思決定への参加と発言の機会を女性に提供。

アンゴラ

  • 2013~14年、230万人が保健、栄養、性と生殖に関する基本的サービス・パッケージを活用。

B

バングラデシュ

  • IDAの支援の下で、基礎的な保健サービスの確保と保健システムの強化を進めた結果、バングラデシュの保健医療の成果が向上。2000~10年、妊産婦の死亡率が、妊産婦10万人につき死亡数320人から194人へと40%低下。

ボリビア

  • 2008~14年、生産性向上を目指す団体を通じて、2,891世帯(大半が先住民)が、合計151,579ヘクタールの土地で作物を栽培し、家畜を飼育し、平均世帯所得が39%増加。農業技術や経営技能の研修参加者のうち約38%は女性であり、同プロジェクトを通じて設立された団体の74%で、女性が幹部として活躍。

C

カンボジア

  • 2008~14年、熟練した保健専門家の立会いを受けた出産が全体の58%から85%に増加、ジフテリア、百日咳、破傷風、B型肝炎の予防接種を受けた1歳未満児は全体の84%から98%に増加。

カメルーン

  • 2009~15年、330万人が保健、栄養、性と生殖に関する健康の基本的なサービス・パッケージにアクセスを確保。同期間に、予防接種を受けた子供は197,333人、熟練した専門家の立会いを受けた出産は197,333件。

中央アフリカ共和国

  • 2012~15年、327,843人が保健、栄養、性と生殖に関する健康の基本的なサービス・パッケージにアクセスを確保。
  • 2000~12年、119,000人(妊婦1万人以上、教師2,000人、軍関係者とその家族7,000人近く)がHIV検査を受診。

コートジボワール

  • 2012年、HIVに感染した妊婦の44%に対し、母子感染のリスク低減のため抗レトロウィルス治療を実施(2007年には未実施)。

D

コンゴ民主共和国

  • 2014~15年、性的暴行を受けた3,845人がホリスティック・サービス(精神と身体を含めた総合的な医療サービス)を受け、3,244人が婦人科で治療を受け、58,627人の地域住民が性的暴行やジェンダーに基づく暴力についての意識と知識を向上するための活動に参加。

ジブチ

  • 2012~15年、妊婦または授乳中の女性、10代の少女、5歳未満児の合計6,752人に、微栄養素の粉末・サプリメントの配布や、2歳未満児の生育状況のモニタリングなど、基礎的な栄養サービスを提供。3,000人以上が参加した公共事業プログラムにより、179,600日分の雇用を創出。
  • 2013~15年、374,272人が保健医療質改善プロジェクトの恩恵を享受。2014~15年、妊婦または授乳中の女性、10代の少女、5歳未満児の合計24,113人に基礎的な栄養サービスを提供。同期間に、4,139人の女性が、熟練した専門家の立合いの下で出産。

E

エチオピア

  • 3,000人以上の女性が、女性起業家のビジネス育成を目指した特別与信枠の恩恵を享受。平均融資額は約1万ドルで、毎月支払われた融資の合計は約200万ドル。
  • 2012~14年、妊婦健診を一度でも受けた妊婦の割合が43%から58.5%に増加、熟練した専門家の立合いの下で行われた出産の割合が50%以上改善。

G

ガーナ

  • 2010~15年、合計123,106人の単純労働者(内、女性は約60%)に、590万日分の雇用を提供。

H

ホンジュラス

  • 2013~15年、対象地域において、コミュニティの治安改善対策の一環である暴力防止プログラムに14,388人(内8,000人以上が女性)が参加。同プロジェクトの下、心理社会的支援、暴力防止、コミュニティ・ベースの支援を図る9つのイニシアティブを実施。

I

インド

  • 2009~15年、中学校の就学者数が1,000万人増加。2009~14年、小学校から中学校への進学率が83%から91.6%に向上。同期間に、10年生を修了した女子の数が、男子100人につき79人から89人に増加。

M

マダガスカル

  • 2012~14年、762,882人が保健、栄養、性と生殖に関する健康の基本的なサービス・パッケージへのアクセスを確保。
  • 2012~15年、予防接種を受けた子供は149,376人。2012~14年、熟練した専門家の立会いを受けた出産は74,593件。

マリ

  • 2015年9月末現在、43,613世帯(349,031人)が現金給付と関連する取組みによる恩恵を享受。受給者の半数以上が女性と子供。

モーリタニア

  • 2014年5月からわずか1年間で、中学校13校と女子にとって魅力ある中等教育についての契約を締結。初等学校教師8,800人近くにトレーニングを実施。4年生と5年生用の教材322,000セットを配布。さらに、基礎教育のための100万冊以上の教科書の製作・印刷を開始。

N

ネパール

  • 2011~15年、54,821人(内45%が女性で、53%は社会的に不利な立場の出身)が都市サービスとインフラの向上による恩恵を享受。
  • 2010~15年、保健従事者から産前ケアを受けた妊婦が、260万人から600万人に増加、予防接種を受けた子供は、58万人から130万人に増加。
  • 2015年、熟練した保健専門家の立会いの下での出産は全体の55.6%(2009年は28.8%)。
  • 政府によるジェンダーに配慮した予算の導入により、女性を直接支援する活動への予算配分が増加し、2015年は予算全体の19%を達成。

ニカラグア

  • 2012~15年、土地所有権・登録サービスの改善を通じて所有権強化を図るプロジェクトにより、458,557人(内、半数以上が女性)が恩恵を享受。42,000世帯以上が所有する不動産についての法的文書を受領。

ニジェール

  • 2011~15年、180万日分の臨時雇用を創出。内477,630日分は女性が対象。

ナイジェリア

  • 2015年、HIVに感染している63,350人(2010年以降140%以上増)の妊婦を対象に、母子感染を防ぐために抗レトロウィルスによる予防処置を実施。

P

パキスタン

  • 2016年3月の時点で、500万世帯(その大半は女性が世帯主)が社会的セーフティネットの給付金を受給。2009年は200万世帯。
  • 2009~16年、「パキスタン貧困削減基金」を通じて、359,887人(内、78%は女性)が新規の小口融資へのアクセスを確保。

S

セネガル

  • 2008~14年、持続可能な形で管理されている森林が40万ヘクタールから870,902ヘクタールに増加。同プロジェクトの下、2009~13年、木炭製造による収入の内、村落への収入の割合が6%から52%に、また、女性に対する収入の割合が3%から12%にそれぞれ向上。

ソロモン諸島

  • 2010~16年、地域社会でのインフラ建設を通じ、脆弱なコミュニティ出身の若者12,000人を雇用し、全国で664,000日分以上の雇用を創出。被雇用者全体の60%は女性、16~29才の若者は53%。

スリランカ

  • 2011~15年、11年生までの生徒の就学率が82%から85%に増加。2015年の就学率の男女内訳は、女子88%、男子82%。

T

タジキスタン

  • 2013~15年、高等教育就学者の内、女性の占める割合が、28%から37%に改善。また、2013~14年、全国大学進学試験に出願した女性の数が24%増加。
  • 2013~15年、395,988日分の雇用を創出(内、91,864日分は女性が対象)。

タンザニア

  • 2012~16年、条件付き現金給付プログラムの受給者の内、女性の割合は54%。同プログラムの下、約110万世帯が恩恵を享受。

U

ウガンダ

  • 2009~14年、170,900人が保健、栄養、性と生殖に関する健康の基本的なサービス・パッケージを活用。保健従事者961人にトレーニングを実施し、230の保健施設を建設・改修・整備。

Y

イエメン[1]

  • 2011年のイエメン危機により貧困率が2009年の43%から2012年は55%へと急激に悪化したことを受け、2013~14年に235万人(内、半数以上が女性)を対象に現金給付を実施。

[1] イエメンの治安状況は、世界銀行が受託や監視ができないほどに悪化したため、2015年3月11日をもって、一切の世界銀行プロジェクトへの資金提供が中断された。現在も中断は続いているものの、可能な場合や緊急時には、主要なプロジェクトへの資金提供を再開する取り決めを開発パートナーと結んでいる。 

2016年6月14日更新