アルファベットでみるIDA – 気候変動

気候変動は、短期的かつ確実に貧困撲滅への取組みを脅かしています。貧困国と貧困層は、資産と生計を破壊する自然災害や、熱波・洪水・干ばつによって生じやすい水系感染症や害虫、降雨不足による不作、極端な気象現象による食糧価格の高騰など、気候に関連した様々なショックに対し脆弱な立場にあります。(「アルファベットでみるIDA:気候変動」をPDF形式でダウンロード)

このため、気候変動と貧困撲滅を切り離して考えることはできません。気候に関する情報に基づいた包摂的な開発を迅速に進めなければ、2030年までにさらに1億人以上が貧困に陥る可能性があります。

従って、気候変動は、世界銀行の最貧国向け基金である国際開発協会(IDA)にとって喫緊の優先課題となっています。2011~15年、IDAは、気候変動適応策として年間平均21億ドル、また気候変動影響緩和策として年間平均22億ドルを支援しています。

IDAは、例えば、より正確な気象データや予報、干ばつに強い作物、これまでにない災害保険、暴風雨に耐えうる住宅や警報システムなど、新たな解決策をもたらすことで、気候変動に対する各国の取組みを支援しています。

また、太陽光・風力・水力を利用した発電、水や農薬を減量し改良種を使った農耕、産業の効率化と持続可能性の改善を通じた炭素排出量削減といった革新的な方策を見出すことにより、気候変動の影響緩和においても各国を支援しています。

IDAは、気候変動と防災についての分析業務や技術協力にも力を注いでいます。すべてのIDA援助受入国の戦略には、気候変動と防災を盛り込んだ国別開発課題と優先課題の分析が義務付けられています。

気候変動への対応は、最も困難な課題の一つとされていますが、IDAの支援は成果を上げています。現在、バングラデシュの農村で太陽光発電の恩恵を受けている人々は480万人を超えています。ベトナムでは、気候変動対応型の農業により温室効果ガス排出量が30~35%削減されました。さらにモンゴルでは、照明や携帯電話、小型電化製品用として、携行可能な家庭用太陽光発電システムが手頃な価格で入手できるようになり、遊牧民の生活が大きく向上しました。

これらは、IDAが気候変動分野で達成している重要な成果のほんの一例に過ぎません。ここでは、IDAの取組みの成果が国別に紹介されています。この他にも、IDAの活動全般や、アフリカ、ジェンダー、組織・制度の強化、脆弱・紛争国に関するIDAの支援を国別にまとめた「アルファベットでみるIDA」シリーズをご覧ください。


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バングラデシュ

  • 2012~15年、太陽光システムで毎月約5万世帯に電力を供給するプロジェクトを通じて、バングラデシュの農村に住む480万人が再生可能エネルギーによる電力へのアクセスを確保。
  • 2015年の時点で、6,000人の農民が太陽光発電の灌漑ポンプ300基以上の導入による恩恵を享受。 
  • 2008~15年、2007年のサイクロン・シドルを受け、約220棟のサイクロン・シェルターを新たに建設し、既存の多目的シェルター279棟を修復し、290万人以上が恩恵を享受。全長260キロ以上にわたり堤防を修復。
  • 2009~15年、9つの煉瓦窯にクリーン技術を導入した結果、温室効果ガス排出量を20%削減。同プロジェクトの下、バングラデシュの排気ガス基準の導入を支援。

ボスニア・ヘルツェゴビナ

  • 2014年6月~2015年12月、洪水被災地域でのインフラ再建の恩恵を受けた人が16万人以上、建築資材などの緊急物資の配布を受けた人は約94,000人。さらに、様々な被災地で多数のインフラ再建サブプロジェクトが実施されており、被災者30万人に援助を提供するというプロジェクト目標を達成できる見込み。

カンボジア

  • 2009~14年、台風「ケッツァーナ」による被害からの復興支援の一環として、農村部に暮らす91,500人に整備された水源へのアクセスを提供し、全長615キロの道路を修復。

カリブ海地域

  • IDAの国別・地域別資金援助により、ハイチ、ドミニカ、グレナダ、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン諸島が、大型ハリケーンや地震に対する災害保険を購入するため「カリブ海諸国災害リスク保険機構(CCRIF)」に加盟。世界初の地域規模の自然災害リスク保険制度であるCCRIFは、カリブ海以外の地域での実施を視野に入れて、各国政府が詳細を検討中。

コモロ連合

  • 世界的な危機および2012年の洪水に対応するために実施されたIDA緊急融資による「労働の対価としての現金給付」と「コミュニティ主導のインフラ整備プロジェクト」により、71,000人以上が直接的な恩恵を享受。

コートジボワール

  • 2015年時点で、都市インフラの修復と建設により、都市部で定期的に発生する洪水から新たに61,800人を保護。

エチオピア

  • 2010~15年、217,598ヘクタールの土地で持続可能な土地管理実施が導入され、3,000万人の生活と生計を大きく改善。
  • 2015年、126,299人の土地利用者を対象に、持続可能で気候変動に強靭な土地管理慣行の立案と実施に関するトレーニングと、30,310ヘクタールの土地の再利用と植林を、それぞれ実施。234,598人(内32%は女性)がプロジェクトの恩恵を享受。

ガーナ

  • 2015年、支線道路589キロの建設、134基の小規模な土堰堤と地下壕の建設、80件の気候変動対策を完了。

ギニアビサウ

  • 沿岸部と海洋保護区の生物多様性の管理能力を強化。2011~15年、265人の職員を対象に、重要な種、領域監視、エコツアーガイド技能についての研修を実施。

ハイチ

  • 2012~15年、ポルトープランス首都圏で、太陽光発電による街灯がともり、18,000人が恩恵を享受。

ホンジュラス

  • 2013~15年、自治体職員120人が防災と気候変動への適応について研修を受け、ジェンダー平等の概念を防災行動計画に盛り込むため20の作業セッションが開かれ、3度の模擬洪水訓練が実施され、13件の洪水・地滑り緩和プロジェクトが完了。

インド1

  • 2013年、大型サイクロン・ファイリンがオディシャ州沿岸に上陸する前に、100万人以上が過去最短時間でシェルターや安全な建物に避難。同サイクロンによる死者は40人未満で、1999年に起きた同規模のサイクロンの死者1万人以上と比較して劇的に減少。
  • 2011~15年、172のサイクロン避難所、12の橋、全長665.6キロの避難用道路が完成。
  • 2012~14年、タミルナドゥ州とプドゥチェリ連邦直轄地で、耐久性のある作りにするために家屋15,188棟を再建し、全長41キロの避難用道路と19棟の避難用シェルターを建設。

マリ

  • 2012年、改良型ストーブ120万台を一般家庭が購入(2009年は642,000台)。2012年時点で太陽光発電システム8,598基が設置され、2009~12年、約130万台の省エネルギー型電気スタンドが一般家庭により購入。2009~12年、オフグリッド型再生可能エネルギー技術を使った発電の容量が94キロワットから1,459キロワットに増加。

モンゴル

  • IDAの支援を受け、世界初の指数連動型保険スキームの導入により、異常気象で家畜を失う可能性の高い遊牧民に安価な保険へのアスクセスを確保。保険を購入した遊牧民は2015年に1万人以上、2014年は19,500人。
  • 2007~11年、照明やテレビ、ラジオ、携帯電話、小型電化製品に必要な電力を供給できる、携行可能な住宅用太陽光発電システムが手頃な価格で導入され、50万人の遊牧民の生活が大きく改善。同プロジェクトの下、11,333トン分の二酸化炭素の大気放出を防止。

モルドバ

  • 2012年の大干ばつの影響を受けた農家に対する研修と現金給付により、2013年末の時点で、国全体の生産高が小麦33%、トウモロコシ4%増加。

ルワンダ

  • 伝統的な電球よりも電力消費量が少なく、灯油ランプやバッテリーに代わる小型蛍光灯の配布プログラムにより、204,000世帯が電気料金と燃料費を節減。2015年4月の時点で、同プロジェクトは、「クリーン開発メカニズム」下で23,491トン分の炭素クレジットを発行。

セネガル

  • 2012~15年、99,000人が洪水防止・気候変動緩和プロジェクトの恩恵を享受し、ダカールの412ヘクタールの土地を洪水から保護。
  • 2008~14年、持続可能な形で管理されている森林が40万ヘクタールから870,902ヘクタールに増加。同プロジェクトの下、2009~13年、木炭製造による収入の内、村落への収入の割合が6%から52%に、また、女性に対する収入の割合が3%から12%にそれぞれ向上。
  • 2012~15年、国内で423,000人の農業生産者と加工業者が、改良型農業技術の開発、普及、導入による恩恵を享受。
  • 2010~15年、森林の伐採面積が63,900ヘクタール減少し、240万トン分の炭素排出量を削減。同期間に、約160万トンの木材燃料を持続可能な形で生産。
  • 「西アフリカ農業生産性プログラム(WAAPP)」の下で、多収性で成長が速く、干ばつに強いキビ、モロコシ、ササゲの14の新品種に着目し、気候変動に対応できる農業について研究を実施。このプログラムを通じて、博士課程の学生99人と修士課程の学生71人が、科学分野でキャリアを築き、農業研究が進んでいない分野の遅れを取り戻すべく活躍できるよう支援。

セントルシア

  • 2011~14年、2010年のハリケーン・トーマスで損壊した2つの橋、11の学校、4つの保健施設の修復により、35,141人が恩恵を享受。

セントビンセント・グレナディーン諸島

  • 2010~13年、IDAの支援により、3つの学校と3つのコミュニティ・センターを極端な悪天候の際の緊急避難所に改修した結果、2,175人が恩恵を享受。

トンガ

  • IDAの危機対応融資制度で拠出された1,200万ドルの融資により、トンガを直撃した過去最大のサイクロン・イアンの被災者約5,500人を対象に、被災した家屋の再建・修復だけでなく、将来発生しうるサイクロンに耐えられるよう既存の家屋を補強。

ウガンダ

  • 2001~13年、9つの自治体で約90万人が廃棄物管理システムの改善による恩恵を享受。2010~12年、9つの自治体で固形廃棄物堆肥化施設の整備により、14,399トンに相当する炭素排出を削減。

ベトナム

  • 2015年9月現在、国内の63省すべてで防災・減災計画を実施。2012~15年、200人以上のエネルギー効率検査官に研修を実施し、2,000人を省エネルギーを促進するエネルギー・マネージャーとして認定。同期間に、エネルギーを大量消費する組織が1,720件の省エネルギー計画を政府に提出。
  • 2012~15年、インフラ拡充により、342,052人を洪水から保護。

1インドは2014年度末をもってIDA卒業国となったものの、IDA第17次期間(2015-17年度)中は例外的に移行支援を継続。

2016年6月10日更新