IDA第18次増資 国際金融公社(IFC)・多国間投資保証機関(MIGA)民間セクター・ウィンドウ

国際開発協会(IDA)は、世界の77の最貧国のための世界銀行の基金であり、これらの国の経済開発と社会的基本サービスのための譲許的融資において単体で最大の財源となっています。IDAは173の出資国の監督のもと、経済成長を促し、不平等を削減し、人々の生活水準を向上するプログラムへの融資や資金供与によって貧困を削減することを目的としています。IDAは、開発パートナーからの3年毎の増資、IDAの援助受入国からの返済金と内部の財源を用いて、長期融資を実行しています。

IDA第18次増資(IDA18)では、支援国はIDAの56年の歴史のなかで最大規模の、750億ドルのコミットメントに合意しました。革新的な資金パッケージは、IDA史上初めてドナー拠出金と返済金を市場で調達した資金と併せたほか、成長・強靭性・機会への投資を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けてIDAの援助受入国を支援する革新性を導入し、従来の資金調達から大きく変化しています。

IDA18の一環として、IDA融資のみに依存している国、特に脆弱国と紛争影響国における民間部門投資への触媒となるため、世銀グループは25億ドルの「IDA18 IFC・MIGA1 民間セクター・ウィンドウ(PSW)」を創設しました。PSWは、持続可能な開発目標とIDA18の目的の達成には民間部門が中心的な役割を担うという認識と、影響の大きい民間部門投資の不確実性とリスク(実際の、または認識されているリスク)の削減を支援する必要性にもとづいています。PSWは、商業的な解決策や、世銀グループの他の方法やアプローチが不十分な場合にとられる選択肢です。

IDA借入国や脆弱国の市場において海外投資を呼び込み、国内の民間部門を成長させるという課題に対応するには、国および取引レベルの両方でリスクの軽減を行う必要があります。国レベルの介入には、継続的なビジネス環境の強化が必要であり、このことはIDAが低所得国と築いてきた長期間の協力において顕著な特徴となっています。同様に、プロジェクトの準備のためのIFCによる助言サービスやその他の能力開発は全体の取組みにおいて不可欠です。また、取引レベルでのリスクの軽減によって非常に前向きな外部性をもたらす先行投資を誘引することができます。2.

PSWが世界銀行のツールの一つに加わることで、公共政策と民間投資が交わる場にIDAがより深く関わることができます。PSWは、市場を創設して民間投資家を動かすことによって開発に関連する難題に対応するという「戦略3.0」と、IDA諸国に焦点を当てたMIGAの2018-2020年度の戦略の主要な柱となっています。PSWは、IDA諸国における民間部門の投資に対する世銀グループのしっかりとした支援のうえに築かれており、その額はこの10年間で1000億ドル超に達しています。PSWは、IFCとMIGAのビジネスモデルと援助受入国との関係を組み合わせることで、こうしたチャレンジングな市場で民間部門の投資を促すためにIDAが公的資金を戦略的に使う機会を提供し、政策とビジネス環境改革に対するIDAの既存の支援策を補完します。

PSWは、4つのファシリティを通じて実行されます。それらは、(1)大規模なインフラ案件やIFCが援助する官民連携(PPP)に民間投資を呼び込むために、主権免除なしに対象となるプロジェクトに保証を付与する「リスク削減ファシリティ(RMF)」、(2)再保険に類似した一次損失分担とリスク参加によってMIGAの保証範囲を拡大するための「MIGA保証ファシリティ(MGF)」、(3)資本市場が発達しておらず、市場を通じた解決が十分でない国において、IFCを通じて現地通貨建てによる長期の投資を提供するための「現地通貨ファシリティ(LCF)」、および(4)PSWを通じた支援を、中小企業、農業ビジネス、保健、教育、手頃な住宅、インフラ、気候変動削減と適応等、開発の影響が大きい様々なセクターへの投資でIFCが先行しているものとブレンドするための「金融ブレンド・ファシリティ(BFF)」です。4つのファシリティの概要については、図表1を参照ください。

PSWは、2017年7月1日までに十分な運営体制が整えられるよう準備が進められています。世界銀行グループは、PSWの目的を達成するため、PSWへの適格性と優先基準、ガバナンスの仕組み、PSWの運用状況と成果をモニターするための状況・結果の枠組みを定めました。チャレンジングな市場での試みであり、PSWは厳格にまた柔軟性をもって運用されます。

PSWとそのファシリティに関する質問は、下記までお寄せください。

  • PSW全体について:Liang Wang, Senior Operations Officer, World Bank, Lwang9@worldbank.org
  • リスク削減ファシリティについて:Juan Carlos Pereira, Principal Investment Officer, IFC, jpereira@ifc.org
  • 現地通貨ファシリティについて:Kevin Kime, Principal Financial Officer, IFC, kkime@ifc.org
  • ブレンド・ファイナンス・ファシリティについて:Kruskaia Sierra-Escalante, Manager of Blended Finance Unit, IFC, ksierraescalante@ifc.org
  • MIGA保証ファシリティについて:Nabil Fawaz, Operations Manager, MIGA, nfawaz@worldbank.org

PSWのファシリティ

ファシリティ 最終顧客に提供されている商品 部門 追加性 明示的な
割当て額
(米ドル)

リスク削減ファシリティ

IFCが発注・参加する対民間セクター取引について、主権免除なしでプロジェクトを対象とした保証

インフラ(電力、上下水道、交通・物流、地方自治体のインフラ、通信と資源関連インフラ)と官民連携(PPP)

IFCの基準を上回るPSW適格国で投資の増加。既存の保証商品の利用拡大

10億ドル

MIGA保証ファシリティ

民間セクターへMIGA政治リスク保険商品

インフラ(電力、上下水道、交通と物流、地方自治体のインフラ、通信と資源関連インフラ)、農業ビジネス、製造業とサービス業、金融市場とPPP

MIGAの基準を上回るPSW適格国でMIGAが援助する投資とリスク参加の増加

5億ドル

現地通貨ファシリティ

通貨ヘッジ機能が十分でない市場で業務を行う民間セクターの顧客(中小企業に貸す金融仲介機関等)に対する現地通貨建て融資

セクターは実行する融資にリンク

通貨ヘッジ機能が十分でない市場で業務を行うPSW適格国の顧客(中小企業等)について現地通貨建ての資金調達が可能に

現地通貨建ての金融商品の開発、リスク削減と能力開発

4億ドル

ブレンドファイナンスファシリティ

民間セクターに対する)融資、劣後債務、資本金、保証とリスク分担

様々な分野(中小企業、金融へのアクセス、インフラ、農業ビジネス・製造業、保険・教育、手頃な住宅、通信技術、気候変動、地方自治体への融資等)への影響の大きい先行投資

IFCの基準を上回る PSW適格国で投資の増加

新しいセクターと融資を十分受けてない顧客層(起業初期や女性が経営する中小企業)へブレンド・ファイナンスによる投資

既存の商品の利用拡大(より長い満期)

6億ドル

 

[1] 国際金融公社(IFC)は、発展途上国の民間セクターに注力する最大の国際開発機関であり、民間セクターの発展を制約する重大な要因への対処を手助けする十分ではない資金、知見や連携を提供、動員しています。他国間投資保証機関(MIGA)は、経済成長、貧困の削減、人々の生活水準向上を支援するため途上国への海外直接投資を促進しています。

[2] 先行する投資が成功することで、投資家のリスク認識が減少し、各国がより多くの国内および国外の資本へと開かれることになります。先行投資が、政府による規制策定、事業支援、生産者市場と個人市場の開発、市場の失敗を克服する外部経済の創設を促すような政策改革とうまく調整され、連続している場合は特にそうです。こうしたデモンストレーション効果は、他の事業者が市場に参入し、拡大させていくことに繋がり、民間セクターが成長することができます。